Seedance 2.5 と 2.0 の違いは画質ではなく入力の自由度、そして誰も書かない3倍の請求額
公開 2026-08-10 · 計測日 2026-08-08
私たちはマルチモデルの動画生成サービスを運営しています。つまり、採用したモデルの生成料金は一件ずつ自分たちの口座から支払っています。Seedance 2.0 の隣に Seedance 2.5 を並べる前に、ルーティング判断に使っているのと同じ測定環境で両方を回しました。この記事はそのデータを、測ったままの形で公開したものです。
以下の数値はすべて 2026-08-08 から 2026-08-10 にかけての実 API 生成によるもので、請求は自社アカウントに立っています。1回しか回していないものはそう明記します。想定外の数値が出たものは、信じる前に回し直しました。
要点
- 同じ尺で、それぞれ最安のルートを使った場合、Seedance 2.5 の1本あたりコストは Seedance 2.0 の約 1.7倍 です。
- 本命の進化は毎秒あたりの画質ではなく、入力の自由度です。2.5 は参照画像を最大30枚、参照動画を10本、参照音声を10トラックまで受け取り、出力は30秒まで伸びます。2.0 は最初と最後のフレーム指定で頭打ちです。
- **参照動画は出力動画と同じルールで、1秒単位で課金されます。**5秒の生成に12.6秒の素材を付ければ、支払うのは17.6秒分です。確認したのは価格だけではなく仕組みそのものです。同じ参照素材で出力尺だけ変えた2本と、タスク作成レスポンスでプロバイダー自身が返してきた
billing_rule: "per_second"が根拠です。 - 用途が5秒のテキスト動画生成だけなら、2.0 は今も合理的な既定値です。2.5 の割高な単価が効いてくるのは、入力素材が2つ目に増えた瞬間からです。
実際に変わった点
| Seedance 2.0 | Seedance 2.5 | |
|---|---|---|
| テキストから動画 | 対応 | 対応 |
| 画像から動画 | 最初のフレーム、または最初と最後 | 対応、さらに複数画像参照 |
| 参照画像 | 2枚(最初と最後) | 最大30枚、順番で指定可能 |
| 参照動画 | 非対応 | 最大10本 |
| 参照音声 | 非対応 | 最大10トラック |
| 出力尺の上限 | 15秒 | 30秒 |
| マルチカットの語り | 非対応 | 対応 |
参照素材は順番で指定できます。プロンプトに「画像3」「動画1」と書けば、モデルは提出順に照らして解決します。つまり素材の並び順そのものがプロンプトの一部になるわけで、この上にプロダクトを載せるなら実装への影響があります(私たちはアップロード画面を作り直しました)。
実測:1本あたりのコスト
同じプロンプト、5秒、480p、1回につき1本。価格は 2026-08-08 に自社アカウントから実際に引かれた金額、単位は米ドルです。
| モデル | ルートA | ルートB |
|---|---|---|
| Seedance 2.0 テキストから動画 | $0.290 | 再測定なし |
| Seedance 2.5 テキストから動画 | $0.484 | $0.687 |
| Seedance 2.5 画像から動画 | $0.484 | $0.687 |
| Seedance 2.5 に12.63秒の参照動画を1本 | $2.203 | $1.485 |
注目すべき点が2つあります。
1つ目。2.5 の2つのルートは「どのモードが安いか」で結論が食い違います。素のテキスト動画生成ではルートAが29%安いのに、参照動画を付けた途端に48%高くなります。テキスト動画生成の比較で勝ったからという理由で Seedance 2.5 のトラフィックを1社に寄せると、参照動画を使うジョブでは毎回払い過ぎることになります。私たちは最終的に、モデル単位ではなくモード単位でルーティングする形にしました。
2つ目。参照動画付きの1本は、素の生成の2.2倍から3.2倍かかっています。これは割増料金ではなく単なる算術です。そしてそこから、どこにも文書化されていない領域に入ります。
参照動画の課金の仕組みを、2本の生成で確定させる
参照動画モードの価格ページには「秒単位」としか書かれておらず、どの秒なのかが書かれていません。出力だけなのか。出力に入力を足すのか。それとも定額の上乗せなのか。この違いは、私たちのようなサービスが請求を半分取りこぼすかどうかを決めます。だから自分で測りました。
方法は、同じ12.67秒の参照素材、同じプロンプト、同じ解像度で2本、出力尺だけを5秒と10秒にします。タスク作成の呼び出し直前と直後に口座残高を読みます。
| 出力 | 請求 | 課金秒数 | 秒単価 |
|---|---|---|---|
| 5秒 | 216.5561 クレジット | 17.67 | 12.2556 |
| 10秒 | 277.7302 クレジット | 22.67 | 12.2510 |
2本の秒単価が 0.04% 以内で一致するのは、課金秒数を出力プラス参照入力として数えた場合だけです。しかも予想外のことに、プロバイダーのタスク作成レスポンス自身がそれを申告していました。
"usage": { "billing_rule": "per_second", "credits_reserved": 277.7302 }
参照秒の単価を独立に逆算すると、出力秒単価の 1.0024倍 になります。参照秒と出力秒は同じ値段です。
もう一段のひねりがあります。秒単価はモードによって変わります。同じプロバイダーで、素のテキスト動画生成は出力1秒あたり $0.1374、参照動画モードは課金1秒あたり $0.0842 です。参照モードは、割り引いた単価をより大きな秒数に掛ける方式です。
実務上の帰結はこうです。5秒の生成に12.6秒の参照素材を付けると17.6秒分が課金されます。利用者への請求を出力尺だけで計算していると、このジョブで54%を取りこぼします。私たちはこのモードを開放する前に、入力秒数をサーバー側で計測して課金する形に作り直しました(ffmpeg で実測し、クライアント申告は一切信用しません)。
複数素材の参照で実際に出てくるもの:3本のサンプル
数字はコストを説明しますが、モデルが絵コンテ通りに動くかは説明しません。参照パイプライン経由で3本のサンプルを生成しました。入力素材、完全なプロンプト(各モデルページに掲載)、そして無編集の出力をここに置きます。私たちの読み取りと突き合わせてみてください。
サンプル1:商品画像4枚から30秒ワンカット
入れたのは参照画像4枚です。正面、側面のディテール、充電ケース、そして空のディスプレイセット。これは撮り直しで、成功した2本目より失敗した1本目の方が多くを教えてくれました。最初のプロンプトはタイムコード付きの拍を4つ書いていました(「6秒でフタが開く」)。返ってきたのは、死んだ7秒の冒頭、ヒンジではなくモーフィングで開くフタ、そして形を保てない商品でした。コマ送りで確認して不採用です。書き直したプロンプトは4拍を、ひとつの連続したカメラワークを共有する3つの動きに減らし、形状変化を禁じる制約を明示しました。




撮り直し版のコマ送り確認(2026-08-19)です。フタは実在するヒンジを軸に持ち上がり、ケース本体は動きません。イヤホンは持ち上がりから最終フレームまで同じ形を保ち、旋回、上昇、引きの3つがひとつのカットとして読めます。死んだ時間もカットもありません。失敗した1本目から持ち帰れる教訓はこうです。タイムコード付きの拍のリストは、硬い状態変化を誘発します。動きの数を減らし、ひとつの連続したカメラワークを共有させ、モーフィング禁止を明示する。30秒ワンカットが崩れなかったのはそのおかげです。
サンプル2:4つの素材から1人のキャラクターを組み上げる
入力は、全身のキャラクターシート、顔のクローズアップ、ジャケットの平置き写真、そして人のいない神殿のロケ写真。出力ではこの4つすべてが動きの中で一致している必要があります。




このカットを確認して、コマをまたいで保たれていたのは、三つ編み、そばかす、ジャケットのバックルとステッチ、そしてロケ写真から来たアーチの光の筋です。脚本上の見上げる拍は5秒付近に落ちています。これは1本の生成であって一貫性のベンチマークではありません。1回のパスで何を保てるかの証拠として置いています。
サンプル3:参照動画からカメラワークを移す
ここでの参照素材は、動画1本(灰色のキューブを180度回り込むだけの素朴なアーク、8.2秒。上の仕組みに従って参照入力秒として課金されました)と、急須の静止画1枚です。指示は、動きをコピーし、被写体を差し替え、それ以外は何も動かすな。

出力は急須の周囲を一定の高さで回り込むアークを保ち、テンポも参照素材に近い水準です。増えた動きは、プロンプトが要求した湯気だけでした。アークは脚本上の180度におおむね読めます。カメラワークの転写と被写体差し替えは、このカットでは一発で成立しました。
実測:レイテンシ
テキスト動画生成は各3本、画像から動画は各1本。計測はタスク作成から完了出力までの実時間、2026-08-08 です。
| モデルとモード | 各回(秒) |
|---|---|
| Seedance 2.5 テキストから動画、ルートA | 92 / 149 / 187 |
| Seedance 2.5 テキストから動画、ルートB | 132 / 135 / 274 |
| Seedance 2.5 画像から動画、ルートA | 317 |
| Seedance 2.5 画像から動画、ルートB | 149 |
| Seedance 2.0 テキストから動画 | 約220(2本) |
中央値よりばらつきの方が重要です。2.5 の最速は Seedance 系で測ったどれよりも速く、最遅はその3倍でした。利用者に完了予定を出すなら、うまくいった場合ではなくばらつきを基準に見積もってください。ルートAの317秒という画像から動画の結果は、何度確認しても同じ水準で再現したため、このモードは別のルートに回しています。
それでも 2.0 が正解になる場面
誠実な比較には、この節が必要です。
- 素の5秒テキスト動画生成:2.0 は 2.5 の実測最安値の60%の価格で仕上げます。ブリーフに参照素材がないなら、割高な単価は何も買っていません。
- 最初と最後のフレームによるモーフ:2.0 の位置指定による2枚画像の契約は成熟していて、6月以降の本番スモークテストを毎回通っています。2.5 も参照リストで同じことを表現できますが、こちらは新しい経路で走行距離が足りません。
- 読めるレイテンシ:2.0 の実測2本は数秒差に収まりました。2.5 のばらつきは2倍から3倍です。
この記事の限界
- サンプル数は小さいです。テキスト動画生成は各ルート3本、画像から動画は各ルート1本、課金の実験は2本。これはルーティング判断のためのデータであって、ベンチマーク論文ではありません。
- 2.5 のコストはすべて480p、5秒から10秒で測っています。30秒の上限は未測定です。
- 価格は、記載した日付にアグリゲーター経由の API ルートが自社アカウントに請求した金額です。エンタープライズ直契約の価格は異なる可能性があります。プロバイダーは予告なく価格を変えます。
- 統制の取れた画質比較は行っていません。この記事が扱うのはコスト、レイテンシ、課金の仕組みという、審査員なしで測れる範囲です。
測定方法
すべての生成は、ルーティング判断に使っているのと同じ環境を通しています。各プロバイダーのタスク API への直接 HTTP 呼び出しで、SDK 層は挟まず、レスポンスのエンベロープは生のままログに残します。コストは価格表からの計算ではなく、タスク作成呼び出しの直前直後に読んだ口座残高の差分から算出しています。レイテンシはタスク作成から、完了出力を返した最初のポーリングまでの実時間です。参照動画の課金実験の手順は本文中に記載しました。
両モデルとも Vidney で稼働中です。Seedance 2.5 と Seedance 2.0。私たちは各モードを、そのモードで最も良かったプロバイダーに振り分けています。このデータが存在する理由はまさにそこにあります。